人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

北海道 道北の小さな町 下川町の森林環境教育

lifeforest.exblog.jp

枝打ち体験 下川中学校2年生

平成22年5月11日(火)
下川中学校2年生の森林環境教育「枝打ち体験」が
下川中学校の教室とグラウンドで行われました。

「枝打ちを通して、森林や林業について考えよう」というのが目標です。
自ら考えてもらうため、グループワークの時間を多くとりました。

今回は下川町役場建設林務課の斎藤丈寛さんを講師にお招きし、
現場の視点からたくさんのコメントを頂くことができました。

1グループ5人、4グループに分かれてスタートです。

はじめに
枝打ちは、「どんな森」に「何のため」にするのでしょう?
グループワークで考えます。

色んな回答がありました。
・「青々とした森」を「日当たりを良くするため」に
・「安全な森」を「みんなのため」に
・「キレイな森」を「日光をよく通すため」に
・「キレイな森」を「枝が伸び過ぎないようにするため」に

これを受けて、
斎藤さんからのコメントです。
結果は、「みんな正しい!」でした。
みんな正しいのですが、
今回は「良い木材を生産する」ための枝打ちについて
、掘り下げてみんなで考えてみよう、という説明。

枝打ちをしないと、木材になった時に節(ふし)ができます。
節が多い木材は、見た目に良くなかったり、強度に問題が生じるようです。
斎藤さんから、実際に節の多い木材と節の少ない木材を見せて頂きました。
話しを聞いたり、写真で見るだけでなく、実物を見ること、大事ですね。

では、良い木材を生産するための枝打ち方法について考えてみよう!
・枝の切り方は?
・樹高10mの樹木の場合、地上から何mのところまでの枝を落とすか?
この2点をグループワークで考えて、黒板に書いてもらいました。

枝打ち体験 下川中学校2年生_b0196837_15302185.jpg

切り方は、幹ピッタリで切る、幹から少し離す・・・
高さは、3mまで、5mまで・・・
みんな、頭を使って色んな答えが出ました。

これを受けて、斎藤さんからコメントです。

枝打ち体験 下川中学校2年生_b0196837_15311587.jpg

枝打ちの仕方は・・・細い枝の場合は、幹との境いピッタリで切り落とす。太い場合は、枝の根元にある枝座(えだざ)と枝の境で切り落とす。
そうすると、成長の過程で切り口が綺麗に巻き込まれる、とのことです。

枝打ちの高さは・・・概ね、地上から樹高の3分の1のところまで。
枝についている葉は、樹木の成長のために光合成を行う重要な器官です。
それ以上切ってしまうと、樹木の成長を妨げてしまうようです。

枝打ちの方法について考えた後は、実際にフィールドに出て枝打ち体験してみよう!
下川町中学校のグラウンドの脇にはアカエゾマツが2列に植えてあります。
少し風の強い日でしたが、
生徒のみんなに1人1丁、ノコを持って枝打ちをしてもらいました。

枝打ち体験 下川中学校2年生_b0196837_15324062.jpg

枝打ち前の木々です。

枝打ち体験 下川中学校2年生_b0196837_15331446.jpg

斎藤さんから事前説明。
ノコギリの取り扱い方の注意はもちろん、
樹高の3分の1ということと、
勢いのある立派な枝は残し元気のない枝を切り落とすということを意識して、
スタート!

みんな、無心になって枝打ちです。
意外に、丁度良いところで真っ直ぐ切り落とすのは難しい・・・

枝打ち体験 下川中学校2年生_b0196837_1534236.jpg

う~ん、なかなかうまいじゃないですか!
グループワークを重ねた結果でしょうか、
枝打ちの方法についてちゃんと理解しています。

おもしろかったのは、
作業中、多くの生徒さんが風に流された木くずを浴びていました。
野外でこのような作業をする場合は、
風下に立たないようにしなくちゃいけないですね。
やってみて、初めてわかることです。

さてさて、もう一つ、大変興味深いものも観察することができました。
2年前の先輩が枝打ちしたゾーンに行ってみると・・・

枝打ち体験 下川中学校2年生_b0196837_1535214.jpg

2年間の成長を経て、切り口が巻き込まれている様子を実際に見ることができました!
継続して森林環境教育を行ってきたからこそ、
こんなふうに過去の作業の経過を観察することができました。

みんなでやれば、作業はあっという間にすすみます。
枝打ち体験 下川中学校2年生_b0196837_15354599.jpg


スッキリ!
林内が移動しやすくなったり、林床に光が当たる様子が実感できました。

林内の様子。

枝打ち体験 下川中学校2年生_b0196837_15361357.jpg

↑枝打ち前

枝打ち体験 下川中学校2年生_b0196837_15363699.jpg

↑枝打ち後

その後、教室に戻り「ふりかえり」を行いました。

斎藤さんより、丸太を適当な径の円柱状に加工した「円柱材」を使って、
先ほどの枝打ちがどんな効果となって表れるのか、確認しました。

枝打ち体験 下川中学校2年生_b0196837_15365560.jpg

そして、枝打ちにはコストがかかること、
そのコストが木材の価格になかなか反映されていない現状や、
都市部に住んでいる人の中には、
節の無い材よりも節のある材の方に風合いを感じて好む人もいる、
という面白い話を紹介して頂きました。
ただ、枝打ちには病害発生の抑制、林内環境の改善、雇用創出などといった
側面もあるため、そういったことも含めて捉えることが必要なようです。

「林業技術」というと完成された技術というイメージがありますが、
枝打ちひとつとって見ても、
樹木の生態や施業目的や社会状況と複雑に絡み合っているということについて、
体験を通して、少しだけ「自分のこと」として考えることができたように思います。

生徒さんに感想を述べてもらいましたが、
みんな口を揃えて
「楽しかった!」

森林率9割の下川町、
「趣味は枝打ち」
なんて中学生が登場する日は近い!?
by morinoseikatsu | 2010-05-11 15:25 | 下川中学校
<< ヨモギを採ろう 下川町幼児セン... 春を感じよう 下川町幼児センタ... >>